[11/21~] インド資金調達まとめ – スマホ・家電修理サービス / 営業支援SaaS / B2Bマーケットプレイス

今週は18社のスタートアップが合計で$55Mの資金調達を行いました。

その中で特に気になった6社をご紹介します。今週はSaaSが多いです。

 

Servify [スマホ・家電修理サービス]

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プリシリーズA(非公開額):Blume Ventures, BEENEXT, Barkawi Holdings GmbH, Sreevathsa Prabhakar

スマホ・家電修理サービスを提供するServifyがプリシリーズAでBlume Ventures、BEENEXTなどから非公開額を調達しました。調達額はプロダクト、サービス、テクノロジーに利用されます。

Searvifyはスマホや家電の管理アプリを提供しており、ユーザーは購入したデバイスを登録し、レシートや保証書を保存することができます。さらに保証期間内外に関わらず、アプリ内からメーカー認定の修理業者を予約することが可能です。ビジネスモデルはB2Bで、ブランドからの収益となります。カスタマーサポートセンターを代替するようなイメージでしょうか。

今後Servifyはさらなるサービス範囲拡大を目指しています。同じデバイスを持つユーザーのコミュニティ形成やCashifyやAtteroといった中古デバイス買い取りサービスとの提携により、プラットフォーム内でデバイスに関することを全て可能にすることで、ユーザーエンゲージメントを高めていく方針のようです。

BEENEXTの佐藤氏は「私がServifyを高く評価する理由は、経験豊富な創業者、OEMや小売り業者とのアライアンスネットワーク、プラットフォーム型アプローチで解決しようとしている問題、その過程で生み出そうとしている消費者インサイトにあります。彼らの冒険のパートナーとなることができとても嬉しく思っています。」と話しています。

 

Vymo [営業支援SaaS]

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シリーズA($5M):Sequoia India

営業支援SaaSを提供するVymoがシリーズAでSequoia Indiaから$5Mを調達しました。Sequoia Indiaは今月にカスタマーサポートSaaSのFreshdeskとマーケティング自動化SaaSのZargetにも投資しています。

Vymoクラウドベースの営業自動化・効率化サービスを提供しています。位置情報や通話履歴、カレンダーなどの多様なデータから、営業担当者が取るべきアクションをパーソナライズして提案しており、ある導入済みクライアントは、Vymo導入後に25%以上のパフォーマンス改善を達成しています。既にHDFC、SBI Life、Axaなどの25社以上の企業に導入されており、今後はサービス範囲拡大と同時に、中東やアジア太平洋地域へのサービス拡大を目指します。

インドのアナリティクス市場は現在の$2B(約2200億円)から、2025年までに$16B(約1.8兆円)を達成するとして、今後10年以内に8倍の成長が予測されています。様々な業種でAIや自動化関連のSaaSサービスが今後も生まれていくと思われます。

 

Aye Finance [マイクロファイナンス]

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シリーズB($10.2M):GT Impact Ventures, SAIF Partners, Accion

マイクロファイナンス向けノンバンクのAye FinanceがGT Impact VenturesをリードにシリーズBで$10.2Mを調達しました。今回の調達額はローン貸出プロセス最適化のためのテクノロジーとインド国内における支店の増加に利用されます。

Aye Financeは年間売上が10万ルピー(約16万円)から1000万ルピー(約1600万円)のマイクロビジネスや中小企業に対してローンを提供しています。金利は担保なしの場合21%、担保ありの場合28%前後となっており、これまでに1万以上の企業や個人事業主に合計10億ルピー(約16億円)以上を貸し出しています。

こうしたマイクロファイナンスに関して問題となりがちなのが返済率ですが、Aye Financeのこれまでの不良債権化率は1%以下となっており、一般的なインドの住宅ローンの不良債権化率が3-14%であることを考えると、非常に高い返済率を達成していると言えます。

インドにはマイクロビジネスや中小企業が約5800万社あり、銀行融資にアクセスできているのはそのうちのたった4%前後です。銀行がこれらの層への貸出を拡大できていない要因としては、信用データの不足とオペレーションコストが収益と見合わないためだと考えられています。インド社会を支えるスモールビジネスの資金アクセスを可能にすることで、インド経済全体に大きなインパクトを与えることに期待したいです。

 

Udaan [B2Bマーケットプレイス]

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シリーズA($10M):Lightspeed Venture Partners India, Lightspeed US

元Flipkartチームによって設立されたB2BマーケットプレイスUdaanがLightspeed Venture Partnersのインド、USファンドから合計$10Mを調達しました。

UdaanはFlipkartの元CTOと元物流責任者、元ビジネス責任者の3人組によって創業されたスタートアップです。サービスは現在ベータバージョンとなっており、スマホアクセサリやファッション商品の製造業者、卸売業者、仲介人、小売店が集まるマーケットプレイスを提供しています。今後2ヶ月中に正式ローンチ予定となっており、エスクロー決済や物流サービスを提供して、インドのAlibaba.comとなることを目指しています。

インドのB2Bコマース市場規模は現在約$500Bですが、2020年までに$1.2Trillion(約132兆円)にまで成長するとコンサルティング会社フロスト&サリバンは予測します。これはインドのB2C市場規模の3倍以上です。

既に多くのスタートアップや企業がB2Bコマース市場に参入しており、Udaanがどのように差別化をはかり、ユーザーを獲得していくのかを見るのが楽しみです。

 

Knowlarity [クラウド型コールセンター]

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シリーズC($20M):Delta Partners, Sequoia India, Mayfield

クラウド型コールセンターサービスを提供するKnowlarityがUAIのPEファンドDelta PartnersなどからシリーズCで$20Mを調達しました。既存投資家のSequoia IndiaやMayfieldも今回のラウンドに参加しており、合計調達金額は$41Mとなっています。今回の調達額は東南アジア・中東などへのサービス展開とAI、アナリティクス技術に利用されます。

Knowlarityは中小企業向けにクラウド型音声カスタマーサポートサービスを提供しており、インドを中心に東南アジア、中東に1万5000社以上のクライアントを抱えています。大手クライアントにはGoogle, Amazon, Uber, Practo, Ola, Zomato, Swiggyがあげられます。また、競合にはBlume Ventures支援先のExotelOzonetelがあります。

インドはオフショア先としてIT技術が発展してきたという背景もあり、それらの大企業向けサービスを分割し、クラウド型サービスとして中小企業に提供していくという流れを感じます。インドは人件費が比較的安く、開発力が高いため、こうしたクラウド型サービスは優位性がありそうです。

 

Helpshift [アプリ向けカスタマーサポート]

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シリーズB($24M):Cisco Investments, Microsoft Ventures, Salesforce Ventures, Intel Capital, Nexus Venture Partners, True Ventures, Visionnaire Ventures

インドとUS拠点のモバイルアプリ向けカスタマーサポートサービスHelpshiftは、$22Mを調達した今年6月のシリーズBラウンドに新たにCisco Investmentsが参加し、追加で$2Mを調達したと発表しました。合計調達額は$38Mとなっています。また、今回の調達により、Ciscoの提供するコンタクトセンターソリューションにHelpshiftのアプリ内カスタマーサポートサービスを統合していくようです。

Helpshiftはクラッシュオブクランを運営するSuperCellやMicroSoft、Nexon、Shyp、そしてメルカリをクライアントに抱えています。クライアント企業は、HelpshiftのSDKを自社のモバイルアプリに統合することでアプリ内カスタマーサポート機能を利用することができます。さらにユーザーデータ分析により、ユーザーエクスペリエンスを高めるサポートもしています。Helpshiftを導入したアプリは全世界で13億以上のデバイスにダウンロードされているようです。競合にはDesk.com, Zendesk, Freshdesk, TeamSupport, LiveAgent, Kayakoなどがあげられますね。

 

【その他の資金調達を発表したスタートアップ】

Edutainment Spearheads:ボキャブラリー学習サービス

NoddApp:プロフェッショナルネットワーキング

DataSigns Technologies:ローンマーケットプレイス

uClean:オンラインランドリーサービス

Froyofit:フィットネスディスカバリー

Infisecure:サイバーセキュリティサービス

Housing:不動産ポータルサイト

TapChief:プロフェッショナルマーケットプレイス

FunOnGo:メディアコンテンツアグリゲーター

Hubilo:イベントマネージメント

 

【M&A・ビッグニュース】

1.クラシファイドサービスQuikrがホームレンタルサービスGrabhouseを買収

インドのユニコーンスタートアップの1つ、クラシファイドサービスを運営するQuikrの不動産部門QuikrHomesがホームレンタルサービスGrabhouseを買収しました。買収額は非公開ですが、$10Mと噂されています。

Quikrは自社のクラシファイドサービスと競合する領域特化型マーケットプレイスを運営するスタートアップに対抗するため、自動車、不動産、仕事探し、サービス、C2Cの5分野の特化サービスを作っており、QuikrHomesはCommonfloorという不動産ポータルサイトを買収していますね。

Grabhouseは、不動産オーナーの持つ物件をシェアハウスに変えています。(3LDKで賃料10万円の物件を1部屋に2人住むシェアハウスにして、1人当りの賃料を3万円にし、全部屋が埋まると3万円×6人=18万円となり、合計の不動産収入は増加します)そして、自社のプラットフォームで物件とユーザーを直接マッチングすることで仲介業者を排除しています。

よくできたビジネスモデルに思えますが、Grabhouseがこれまでに合計$13M調達しており、シリーズBでの$10M調達時のバリュエーションが$30-50Mだと仮定すると、$10M前後での売却はネガティブです。実際に稼働率やコスト、スケーラビリティなどの問題により、既存投資家のフォロー投資が期待できず、ホームレンタルサービスNestawayや格安ホテルマーケットプレイスのOyo Roomsとも買収交渉をしていたみたいです。

 

2.オンライン医薬品販売のNetmedsが競合のPlussを買収

オンライン医薬販売サービスを運営するNetmedsが、競合のPlussを買収しました。今回の買収により、Netmedsはデリー首都圏におけるマーケットシェアを二倍に伸ばし、Plussの人材を獲得することとなります。インドの医薬品販売市場は$15Bで、その内95%の販売シェアをパパ・ママストアが占めます。Netmedsの最大の競合はHealthkartから分社化した1mgですね。

 

参考:Funding Galore: Startup Fundings Of The Week [21 November – 26 November]

 

サイバーエージェントベンチャーズのインド投資リサーチャーとしてインド在住。大学時代に休学し、インドで不動産事業立ち上げとEdtechスタートアップQuipperでインターン。今後20年間でインド、東南アジア、アフリカで起こるであろう経済成長と社会変化に携わりたく現地で奮闘中。

河野 優人(Yuto Kono)

サイバーエージェントベンチャーズのインド投資リサーチャーとしてインド在住。大学時代に休学し、インドで不動産事業立ち上げとEdtechスタートアップQuipperでインターン。今後20年間でインド、東南アジア、アフリカで起こるであろう経済成長と社会変化に携わりたく現地で奮闘中。