インド発のHR Techスタートアップ11選

 HR Techは採用から人事や労務に関わるオペレーションに対するソリューションとして知られていますが、インドではこれらの課題はまだまだ大きく残っています。中でも、12億人強の人口を持つインドでは採用の効率性改善などは重要な課題となってきます。

今回は、そんな企業の中の「人」に関する課題のソリューションを提供するインドのスタートアップ11社を紹介します。

ジョブボード・採用支援ツール編

hiree

top_hiree

 hireeは今年の7月にクラシファイド大手のQuickrへ売却した採用プラットフォームです。2回のラウンドに渡って総額320万ドル(約3.2億円)をIDG Ventures Indiaから資金調達していました。ホワイトカラーの仕事のジョブリスティングがメインのサービスとなっていた中、Quickrが展開するQuickrJobs上でマッチングができる職業数を増やす役割を果たすために売却が決定しました。なお現在hireeを合わせたQuickrJobsには100万人以上の求職者が居ます。

Aasaanjobs

top_aasaanjobs

 Aasaanjobsは2013年に創業で一般的なスキル、あるいは入門者レベルでできる仕事を見つけることができる求人情報サービスです。新しくスキルを身に着けるモチベーションがある求職者を募集企業側は採用することができます。
Aasaanjobsはこれまでに総額650万ドル(約6.6億円)をInventus Capital PartnersやIDG Ventures Indiaから資金調達しています。

Babajob

top_babajob

 Babajobはメイドや運転手などのブルーカラーの採用市場に目をつけたジョブリスティングサービスで、これまでに70万件以上の募集広告が掲載されています。採用担当者はBabajobを通して、ブルーカラーの求職者たちにリーチすることが可能となります。このような求職者の多くは2G回線や低スペックの携帯を使っているため、SMSや通話でのコミュニケーションをより活発に行えるような工夫がされています。
BabajobはこれまでにGrayGhost VenturesやSEEK、Khosla Impactから総額1116万ドル(約11.3億円)を資金調達しています。

belong

top_belong

 beloongは、LinkedInやTwitterなどのSNSデータで機械学習を用いることで採用の意思決定を最適化するための採用ツールです。また、belongは採用ツールとしてだけでなく、入社後のパフォーマンスなども管理できる機能を追加しており利用を重ねる毎にその精度がより高まるようになっています。
belongはこれまでにSnapdealの創業者であるKunal Bahl氏、Rohit Bansal氏そしてBlume Venturesから総額500万ドル(約5億円)を資金調達しています。

WorkIndia

top_workindia

 WorkIndiaは、独自のマッチングアルゴリズムを用いてホワイトカラー・ブルーカラーどちらの職種もワンストップで採用できるプラットフォームを提供しています。求職者はWorkIndiaのアプリをダウンロードし、レジュメを履歴書を登録しておくことで、適した求人情報をプッシュ通知で知らせてくれます。現在ムンバイのみで60,000人以上が登録済みとのことです。
WorkIndiaはこれまでにCitrus Payの創業者であるSatyen Kothari氏などのエンジェルたちとBeenextから総額50万ドル(約5000万円)を資金調達しています。

Sheroes

top_sheroses

Sheroesは女性の求人に特化したジョブマッチングサービスです。育休後の職探しや、家からでもできる仕事、パートなどを見つけることが出来ます。すでに50万以上のユーザーと6000社以上のサインアップが行われています。
Sheroesはこれまでに500 StartupsやFlipkartの創業者であるBinny Bansal氏、Google IndiaのMDを務めるRajan Anandan氏などから総額257万ドル(約2.6億円)を資金調達しています。

HackerEarth

top_hackerearth

HackerEarthはエンジニアがスキルチャレンジができ、その結果を使って採用につながるサービスを展開しています。HackerRankを利用する企業はハッカソン形式などで独自の課題などを出した上で優秀な人材に対してアプローチでき、技術力に基づいた採用を可能にしています。現在100万人以上のユーザーを既に抱えていて、企業からの課題の数も増えていて成長しています。
HackerEarthはこれまでに500 StartupsやBeenext、Prime Venture Partnersから総額53万ドル(約5370万円)を資金調達しています。

HackerRank

top_hackerrank

HackerRankは非常にHackerEarthに似たサービスであり最大のダイレクトコンペティターです。 エンジニア向けで、オンライン上でプログラミングコンテストに参加できたり、自分のコーディングスキルを定量的に計測しHackerRank内のランキングに反映させるといったサービスを提供しています。また導入企業向けのSaasアプリケーションでは、採用フローの際の技術力テストやその診断を企業独自の課題あるいは、既存の問題を用いて行う事ができます。(HackerEarthもHackerRankも実際にIIT生の就活の場でも使われたりしているようです。)
HackerRankはこれまでにY CombinatorやKhosla Ventures、Battery Ventures、リクルートホールディングスから総額1990万ドル(約20.2億円)を資金調達しています。

人材管理ツール編

GreytHR

top_graythr

 GraytHRはクラウドベースの労務管理Saasアプリケーションを提供しています。GraytHRを導入することで、ユーザーとなる企業は従業員の勤怠や給与、経費申請、契約書などの書類などをワンストップで管理することが可能となります。GraytHRは元々、Delphi Software Pvt Ltd.,というソフトウェア会社でしたが、クラウド技術の発展や煩雑な人事のオペレーションなどを見越してクラウドベースのSaas事業に踏み出したとのこと。
GraytHRはこれまでにNew Enterprise AssociatesやBlumeVenturesから総額520万ドル(約5.27億円)を資金調達しています。

NiYO Solutions

top_niyo

 NiYO Solutionsは、従業員にカードとウォレット(アプリ)を提供することでレストランでの食事やギフト、旅行などの福利厚生とそのマネジメントを可能とするスタートアップです。サービス自身は未だステルス開発中で招待制のサービスはとなっています。
NiYO SolutionsはこれまでにPrime Venture Partnersなどから総額115万ドル(1.17億円)を資金調達しています。

Advantage Club

top_advantageclub

 Advantage Clubはモバイル利用特化の福利厚生サービスです。CEOのSmiti Bhatt Deorah氏はこれまでの福利厚生は利用するのに煩わしいプロセスなどがあったり、そのベネフィットが明確でなかったことが多くあることを課題と捉えAdvantage Clubをスタートさせました。Advantage Clubは地域ごとに提供できるサービスが異なり、利用者は現在12のカテゴリーを250以上のブランドに対して適用することができます。導入企業数は100社を超えて、更に成長を続けています。
Advantage ClubはこれまでにMumbai Angelsなどから総額43万ドル(約4350万円)を資金調達しています。

最後に

今回は筆者が気になっているHR Techの企業を11社紹介しました。今回紹介したスタートアップの他にもInfo Edgeが運営するnaukuri.comなど既に1億円以上の資金を調達しているサービスはHR市場には存在します。しかしながら、インドでは冒頭にも挙げたような、人の手が依然としてかかってしまう煩雑かつ企業経営には欠かせない課題が根強く残っており、このような問題を解決しながらインドのHRの市場は今後より大きくなっていくかと思います。

島村 知寛 (Chihiro Shimamura)
学生時代から東南・南アジアを中心に渡航を繰り返し現在はインドにてベンチャーキャピタルにて主にリサーチ・ネットワーキングの仕事をしています。統計解析の研究室に居たこともあり、AIを始めとした技術周辺や途上国ならではのスタートアップから社会を変えていく潮流がとても好きです。
島村 知寛 (Chihiro Shimamura)

島村 知寛 (Chihiro Shimamura)

学生時代から東南・南アジアを中心に渡航を繰り返し現在はインドにてベンチャーキャピタルにて主にリサーチ・ネットワーキングの仕事をしています。統計解析の研究室に居たこともあり、AIを始めとした技術周辺や途上国ならではのスタートアップから社会を変えていく潮流がとても好きです。